先日、動画サイトで見た「パワーリストボール」に大変驚きました。
.
動画1
健康維持のために運動しておりましてkatochann33さんの動画を参考にさせていただいております。その一環で動画1を見たのですけれど、パワーボール(パワーリストボール、ダイナビー、ローラーリストボール、リストトレーナー、パワースピナー)の動作に驚きました。 ここではパワーリストボールと呼びます。
パワーリストボールについて、かなり前から存在は知っておりました。1970年代に開発されたようで、正式には「ジャイロスコピック エクササイズ ツール」というそうです。こちらを参考に。 ボールの回転は、何らかの動力があるか自然に停止するまでの間に用いる器具だと勝手に思っていました。 ところが、手首の運動とともにボールの回転が加速するのだと分かり、早速購入した次第です。いろいろ考えた結果をまとめたのが
.
動画2
です。
ジャイロ効果(gyroscopic precession)と歳差運動は、理解しておりましたし、経験的にも知っておりました。ところがジャイロ効果により回転が加速するという発想はまったくありませんでした。
ジャイロ効果について、
図1
回転する円板が何らかの原因でA点に力が加わると90度遅れてB点に力が働きます。円板の全体にジャイロ効果は働きます。 一般に回転する円板とそれを支える回転軸は一体です。ですから点Aに力が働いた結果、回転軸はBの方向へ力が働きます。 ジャイロ効果の結果、回転軸には常に力が働きますので、
図2
のように、回転軸がミソすり運動をします。これが歳差運動です。
パワーリストボールを分解してみますと
写真1
青いボールと白いリングに回転軸が固定された黄色い玉が入っています。 青いボールにはミゾが切ってあり、白いリングはミゾに沿って動くことができます。 従って、黄色い玉の回転軸はミゾに沿ってのみ動くことができます。
動画2で見たように、スローで観察しますと、パワーリストボール内における黄色い玉の歳差運動は、
図3
のように、ほぼ90度まで傾いています。
パワーリストボールの取扱説明書
写真1
とスローモーションの手首の動きと併せて考えますとミゾと白いリングは、
写真2
のように動いているようです。この動きは黄色い玉の回転軸を強制的に回転させることになりますので、黄色い玉の回転軸は写真2の赤い棒のような動きをしているはずです。(回転軸が写真の赤い棒より遅れがあるか、はたまた早めに動いているかは、観察では判断できませんでした。) これが図3の状態です。 強制的にミソすり運動を起こさせるには、ミゾと白いリングの間に適当な摩擦が必要です。試しにミシン油を少量つけてみたところ、回転の加速が難しくなりました。手首をうまく使ってもほとんど回らなくなりました。真似しない方がよいです。
2017/09/20以下 削除 回転加速の仕組みを下段に追記します。
何が不思議かといいますと、黄色い玉は、(加工精度の問題はあれども)軸対称であり、重心は回転軸上にあるとともに玉の中心付近にあるはずです。 物体に回転モーメントを与えるためには、重心位置から離れた位置に力を加える必要があります。 パワーリストボールはこの考えに当てはまりません。
身近にある電子機器の内部にあるモーターや自転車・自家用車などの機械類は全部、本当に全部「重心位置から離れた位置に力を加える」仕組みを持っています。 パワーリストボールは、管理人が知る中でほとんど唯一の例外です。
固定されたものが無い宇宙(3次元物理空間)において、如何にして回転するのかが最大の問題です。 当然、「回す」ではなくて「回る」でなければなりません。
これまで学んだ力学にはジャイロ効果も歳差運動もありましたけれど、ジャイロ効果を逆手にとって回転軸のみ固定された回転体に回転の加速を与えるという発想はありませんでした。 例えば
写真3 こちらから拝借
ヘリコプターの姿勢制御はジャイロ効果等を考慮していることは理解していても、まさかヘリを横倒しにして極端なミソすり運動をさせて、同期させればヘリのローターの回転数を上げられるかも知れないという発想は絶対にありませんでした。
動画2において、言葉では説明できても「ジャイロ効果」が具体的に「回転を加速する」ことのイメージができないと示しました。(管理人のみかも知れませんが。) 本当に不思議です。
ここまでが前提です。
電気と磁気は直交して現れます。電磁気現象は直交して力を生じます。 特に単極誘導モーターは
図4
電流の方向と直交して力を生じます。(力が回路に生じるか接点に生じているかは別として。) 特段の機構を持たずに回転力を生じます。 ほとんど唯一「回す」ではなくて「回る」現象です。
そして今回、パワーリストボールは「特段の機構を持たずに回転力を生じる」と気付きました。これもいわば「回す」ではなくて「回る」だと考えられます。 やはり気になるのは図1で示したジャイロ効果が90度遅れて生じる(直交している)ということです。 回転を加速するカギが回転軸にあることも重要です。 回転を加速するという事実は大きいです。
管理人は、単極誘導もジャイロ効果も3次元物理空間の基本的性質として「似通った何か」を感じます。
弧理論の考え方において、
図5
回転体においては、E軸は回転軸(Z軸)方向に重なるということを考慮すれば尚更です。 何を言いたいかと言いますと、弧理論で想定している「E軸」にアクセスするにはどうすればよいか?ということに尽きます。 その点、単極誘導もジャイロ効果も回転軸(Z軸)方向に何か関連した現象だからです。
まとめますと、管理人が求めているのは、
E軸にアクセスするには、Z軸とXY平面内の回転運動の間の関係を「ほにゃらら」すればよい。
という何かです。 そのカギが90度に他なりません。 ある科学者は言いました。
望ましい結果を生み出すためにエネルギーの流出を見るような方法を講じさえすればよい
注:ただし、ある科学者は、エネルギーという言葉を2つの意味に使い分けていますので注意が必要です。 時間を含まない真のエネルギー値(真E)と時間を含むエネルギー(運動P)です。
余談ながら、ベルのジェットレンジャーはかっこいいです。昔2,3度乗ったことがあります。
写真4 こちらから拝借
上のKH4には1時間近く乗せてもらったことがあります。パイロットが離陸の瞬間、ヘリの姿勢を安定させるためにローターの回転に同期させて操縦桿をクイッと動かしたのを見たときは驚きました。未だに忘れません。
削除 ここまで
2017/09/20 追記
コメントをいただいたことでパワーリストボールの回転が加速する仕組みは分かりましたが、放置してきました。 ここに記事を修正し、追記します。
まず、パワーリストボールを手首の振りを用いることによって、コマ(黄色いボール)の歳差運動をより強くするところまでは、記事の通りです。 パワーリストボールの回転軸と白いスライドリングを観察すると
写真5
のような構造をしています。 青い部分がパワーリストボールの外周に切られたミゾです。 白いリングは青いミゾにはまるようにできていて、ミゾをスライドします。 大事なのは白いリングの厚みよりコマの軸の直径が僅かに大きいことです。
その際の回転加速の仕組みは次の通りです。
図6
パワーリストボールを手首の振りを用いることによって、コマの歳差運動をより強くすると
- コマの回転軸はボールの青いミゾに押しつけられる
- 白いリングが青いミゾに沿ってスライドする
- コマの回転軸は青いミゾに押しつけられて、転がる
ことで、コマの回転が加速します。 また、コマのもう一方の回転軸も同様に、軸の反対面が青いミゾに押しつけられることになりますから、軸の回転加速の方向と同方向になります。 なお、コマは歳差運動から「立ち上がろうと」することによって「リングはミゾに押しつけられ」ますので、結果「スライドし、転がる」ことになります。
結果的に、強制的に歳差運動を強めることとコマ(黄色いボール)の回転加速とは、直接の関係はないということです。 ミゾに摩擦が必要なのは回転軸が青いミゾを滑らないで転がることが必要だからと云う理由になります。
軸の直径とコマの直径・質量、ミゾとの摩擦係数など、幾つかの微妙な関係の上にパワーリストボールの回転加速の仕組みは成り立っているということです。
余談ですが、削除した上記記事の考え方は「弧理論の考え方」におけるフリーエネルギーの仕組みと関係あるように感じます。未だ仕組みは分かりませんけれど、普通に人の持つ感覚によって観察される現象の内にヒントが隠れているような気がします。でなければ、次の段階へ行ける訳がありません。自然科学、特に物理学における時間の問題は致命的であることが分かっています。
ブログランキングの応援と広告のクリックをお願いします。