私たちが学んだマクスウェルの方程式がマクスウェル・ヘビサイドの方程式として、スカラー成分の一部を除外したものであることを知ったのは最近です。そして、マクスウェルの原方程式にある“内部エネルギー”と呼ぶべきスカラー成分の考慮に複素数を用いるべきとT・E・ベアデンが主張しているのを知ったのも最近です。
ある科学者が次のように述べました。
「二つの次元を持つ幾何学的な平面を考えてみたまえ。この面が君の視点に対して直角をなすとき、君はそれを平面と感じる。これはその実体の物質面を表す。次に君がその面を90度ほど回転させると、その面は君の視界から消えて一次元のみとなる。これはその実体のエネルギー面だ。君はその面を取り替えたわけではない。ただ観点を変えただけだ。技術的に言えば関係位置を変えたのだ。一定の物体に含まれていると思われるエネルギーの量は、一定の観測者にとって質量エネルギー軸を中心にそれがどれくらい回転したかにかかっているのだ。別な関係位置から同じ物体を見ている別な観測者は全く異なる量のエネルギーを見るだろう。」
そして、「科学者たちが物質とエネルギーのかんたんな同一性をまだ十分に理解していない。物質とエネルギーの同一性を量的に表した数式が発表されている。この数学式は全く正しいのだけれども、誤った結論に達している。物質はエネルギーにも転換するし、その逆にもなるというが、本当は物質もエネルギーも一つの実体の異なる面にすぎない。」と言っています。
この言葉を弧電磁気論p12に引用しました。そして、「私たちはエネルギーの正しい測定方法を知らないらしい」ことと符合することで、T・E・ベアデンの主張に意を同じくしました。
つまり、エネルギーの量を正しく捉えるためには、余分の次元軸を複素数として設ける必要があるということです。3次元物理空間(x,y,z)に虚数単位(i)を付けたエネルギー軸を加えて、4次元の複素数空間として取り扱うのです。 時間(t)を含むならば5次元空間ということになります。
そうすることによって、物質である荷電粒子の相互作用を複素数のかけ算、割り算、べき乗として取り扱えるようになるでしょう。これは、回転変換を複素数空間で行えることを意味します。
上の図について、高次の複素数空間に存在する電気磁気の実体である、単極(ア)及び単極(イ)を仮定します。単極(ア)と単極(イ)の間の線分は双極(ア-イ)です。そして、矢印ように反時計方向に「積分を伴う回転変換」されて、M軸上に単極(ア’)として現れます。これが荷電粒子(物質粒子)です。 しかし、「積分を伴う回転変換」は物質空間(M軸)で行われませんので、回転の原点は上図の仮想の単極(イ)としなければなりません。この点は何かの工夫が必要だと考えます。
正しいエネルギーの総量は、E軸(エネルギー軸:虚軸)上のエネルギーにM軸(物質軸あるいは質量軸:実軸)上のエネルギーを加えたものになります。 ここで、M軸上のエネルギーには直接測定可能な位置エネルギーや運動エネルギー、圧力や熱などと、物質の持つ静止エネルギーがあります。
こうして、ある科学者がいうところの「物質とエネルギーのかんたんな同一性」を記述できるのではないかと考えます。 未だ不十分ながら、少し「数理的な理論」に落とし込める可能性が出てきたように思います。
3次元物理空間の「尻尾」とは3次元空間での挙動のみの考えでは、「我々の空間の性質を知ることはできないかも知れない」という手がかりであると考えます。それがT・E・ベアデンが「スカラー成分を虚数で考えるべき」ということのようです。
3次元物理空間を理解するに虚数を用いた「複素数空間と考えるべき」という思考は、「3次元空間の尻尾(2)」で、例えに用いたX線回折の説明につながります。 上図、右の写真フィルムが我々の3次元物理空間です。この空間に存在する素粒子を、どのように分類しても、その本質である結晶構造の解析に迫ることは不可能であることが理解できます。
固体物理で学んだX線回折について、その発展の歴史は、記憶によれば次の様な順であったと思います。
1.X線がフィルムを感光させることを発見。
2.X線を結晶に照射すると背後のフィルムに縞模様が現れることを発見。
3.結晶の回折について理論を作った。(ブラッグの法則)
4.回折の縞模様から、結晶構造を決定できるようになった。
当然のこと、用いる結晶物質によって、できる縞は全く異なる模様となることは当然のことです。
仮に2.の文章で、「結晶にX線を照射して感光したフィルムを現像した事実」を知らせずに、「縞模様が現れたフィルムのみ」を示されたらどうでしょう。ましてや、フィルムというものが、どのようなものかを知らない人に。 その人は、フィルムの縞模様を分類し、縞模様どうしの配列や規則性を検討し、さらに多くの縞模様がフィルムの外縁部に発見できるはずと考えて、顕微鏡でフィルムを探ることでしょう。(この人は、印画紙に拡大して焼き付けることはしません。何故ならフィルムの用途を知らないからです。) けれども、その分類には意味がないことが理解できます。前提となる「結晶にX線を照射して感光したフィルムを現像した事実」と「X線の結晶に対する回折現象」を知らねば、フィルム上の縞模様の本質を知り得ないからです。 我々が知りたいのは結晶が回折する現象と理論です。
まとめると、次のようになります。
(A) |
(B) |
(C) |
|
X線解析 | X線が結晶で回折 | フィルム上に縞模様 | 結晶構造を解析 |
現在の
状 況 |
高次の実体の相互
作用で積分を伴う 回転変換される |
M軸上の現象
(電磁気、素粒子の振る舞い、重力) |
量子力学で(B)の
現象を解析 |
上の表で、上段が「X線解析」の状況です。下段が、現在我々が置かれた状況です。A→B→Cの順に事が進みます。
上段の(C)で行っていることは、(B:縞模様)を用いて(A:結晶構造)を知る行為です。 見て分かるとおり(A)の事が分かっていないと(B)を手がかりに(C:解析)を行うことは出来ません。 一方、下段の(C)で行っていることは、(B:M軸上の現象)を知ろうとする行為です。
我々が置かれている状況は、極微の世界の理解と、宇宙の大規模な構造の理解の深刻な乖離です。少なくとも管理者には、そう見えます。
以上が、物理空間に生じる素粒子群を分類しても、その本質に迫れないものと管理者が考える理由です。 この行程は数理理論の積み重ねで越えられるものではないと確信していますし、幾人かの研究者は「3次元物理空間の尻尾」を捉えていると考えるのは、管理者に根拠を与えています。
先の科学者が次のように述べています。
「(現代の)科学者は電子が粒子で、波動性の二重性をもつものと定義せざるを得ない状態にある。彼らは、電子は確率波をもつ粒子だということによってこれを正当化させようとしている。これは心で描くことのできない状態」であるということです。(弧電磁気論p16)
管理者は「心に描くことのできない状態」を受け入れることができません。
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