食酢と水銀を用いた単極誘導モーターに生じる力の作用と反作用について調べた結果を動画サイトに掲載しました。
動画 1 (単極誘導モーターの力学特性について)
実験1について。
メッキされたネオジム磁石を(-)電極とし、リング状の銅電極を(+)電極とします。容器に食酢を入れDC30Vを印加しますと最初0.6Aくらい流れ、酢は反時計方向に渦を作ります。電流は次第に増加します。
銅円板を用いた単極誘導モーターではブラシを固定しますので、銅円板は時計方向に回転します。実験1では写真2の銅円板とブラシを固定し、間に食酢を入れたのと同じですので、食酢は反時計方向に回転するわけです。
動画ではあまりはっきりしませんけれど、渦は磁石に近いほど速いです。 つまり、渦の動きの反作用は(-)電極であるネオジム磁石が受けていることになります。 そこで、(-)電極とネオジム磁石を分離してみます。ネオジム磁石がリング状なのは後の実験との都合により用いました。
実験 2について。
磁石をテープにて覆い電気的に絶縁します。0.1㎜厚の銅板を磁石に巻き付けたリング状にして、(-)電極とします。実験1と同様に外電極を(+)とします。電流を流すと食酢は反時計方向に渦を作ります。 フェライト磁石を用いていますが、渦の状態がよく撮れていますので動画に採用しました。特に意味はありません。 実験2の結果、渦の反作用は次の通り考えられます。
- 渦の反作用を磁石が受けている。
- 渦の反作用を内電極(-)が受けている。
- 渦の反作用を内電極(-) と 磁石が受けている。
のいずれかということになります。
実験 3について。
内電極(-)として銅板をリング状にして上から0.2㎜のUEW線で吊り下げます。ねじれに対してかなり敏感で、電流を流すと食酢は反時計方向に渦を作るとともに内電極(-)は静止した6時の位置から最大10時の位置まで大きく振れました。実験3の結果
- 渦の反作用を内電極(-) と 磁石が受けている。
- 渦の反作用を内電極(-)が受けている。
のどちらかということになります。
実験 4について。
内電極(-)は、銅板をリング状にして容器に固定します。内電極(-)と外電極(+)の間に水銀を入れます。このとき用いた水銀は約100gほどで、吊り下げた磁石は20gでした。DC0.5Vで30Aから50A流したところ、吊り下げた磁石が水銀の渦の反作用を受けている様子は観察されませんでした。 水銀の渦がゆっくり回転を始めるのは重いためでもありますけれど、磁石から少し離れているせいでもあります。 実験の結果をまとめると次の通り考えられます。
食酢と水銀を用いた単極誘導モーターに生じる力の反作用は内電極(-)が受けている
と考えられます。他の形式での実験でも同じ結果を得ています。
ここで、ファラデーが発見した単極誘導についてあらためて記しますと
端面を磁極とする円柱状磁石に対して、同軸上の導体円板を配して軸回りに回転させると、中心軸と円板の外縁部に
① 磁石を固定して円板を回転すると誘導電流が流れる。
② 円板を固定して磁石を回転すると誘導電流は流れない。
③ 磁石と円板を一緒に回転すると誘導電流が流れる。 という現象です。
一般に、③が不思議だとされています。つまり、磁力線は、磁石にくっついて動くのか、それとも空間に固定されているのか、ということです。
動画1による単極誘導モーターの実験結果は、観測者に対して磁石が動いているか、動かないかは問題ではなく、そもそも磁石は力学的に孤立しているということです。すると上の③が不思議なのではなく、②も③も当然なのだと理解できます。
ここで、実験の結果を踏まえて単極誘導モーターを定義すると次のようになります。
『軸対称な磁石の近傍を、軸方向に運動する電子には運動方向に直交する力が働く。生じる力は、電子の進行方向に対して左方向であって、その作用は電極や水銀などの導体、電解質に働く。反作用も電極や導体に働く。生じる力に関して磁石は関係しない。』 となります。
では、磁石から離れた位置を運動する電子に磁石が働きかける”何か”とはいったい何なのでしょうか?これが「磁”力”線」あるは磁気といえるのでしょうか?
電磁誘導の現象においては磁石は力学的に含まれています。
動画 2
だからこその磁力線だとわかります。しかし単極誘導に関しては磁力線での説明に無理があると思います。
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Φさんが,いつも鮮明な映像と分かり易い説明でわたしたちを啓発してくださるので大変助かっております。
反作用の件で,ひとつ疑問があります。
「食酢と水銀を用いた単極誘導モーターに生じる力の反作用は内電極(-)が受けている」ということがよく分かりました。
電極(+)を基準にしていらっしゃるので,こちらの反作用を論じていないのも分かります。では,電極(-)がリング状ではなく軸である場合は反作用はやはり厳密に回転軸に生じるのでしょうか。それとも,電極(-)の反作用はゼロに向かうのでしょうか。わたくしは後者のように思えました。もちろん,磁石の半径以内では磁束の向きが逆になりますが。
そうしますと,バックトルクがあるかどうかという問題に移行し,ついには,オーバーユニティーへと・・。
やはり,単極誘導は不可思議です。
コメントありがとうございます。まず、いつも軸側を(-)外側の電極を(+)にするのは単極誘導モーター実験1からやり方を統一しているからです。(比較して理解しやすい) 磁石のS極を上にしているのは、地球の磁北極がSだからです。というのは地球の自転方向がジェット気流と同じ方向なのを単極誘導が原因ではないかと疑っているからです。宇宙に何も固定点がないのになぜかジェット気流は自転方向に吹いています。どう考えても逆です。反作用がどこかへ消えています。 過去記事に記しましたとおり現在の科学は幾つかの基本的問題を完全に無視しています。その一つが「ジェット気流の方向が自転と同じ」だということです。この力学的機構がわかればジェット気流は理解できるはずと考えます。同時にオーバーユニティーの鍵を握っていると踏んでいて、その鍵そのものが単極誘導だということです。
熊谷様の疑問への答えは、実験結果として持っています。(気を持たせて申し訳ありません。)ただ、更に先がありまして、現在鋭意取り組んでいる途中です。まだ、先に幾つか山がありそうで、どこまでを区切りとしてよいか思案中です。ここで答えを書くのはご勘弁いただいて、動画(並びにレポート)にまとめてからお出しできると思います。第一、まだ実験結果に頭がついていかない状態で混乱しているのが実際です。どうかお待ちください。
すばらしい動画にはいつも敬服しています、ところで水銀の蒸気は毒だと聞いています、大電流を流して大丈夫ですか?
村里様 コメントありがとうございます。蒸発は気にしていますけれど、仕方ありません。20回くらい水銀での実験を行っています。(使える動画は少ないです)化学天秤を持っていますので、一度調べてみたところ215g中、実験前後で0.11g減少していました。実験の際は細心の注意を払っていますが、どうしても小さな粒が落ちることが多いです。落ちた粒を細い筆で集めて瓶に回収するのですが、こぼれ落ちたものを含めて、それだけ少なくなっているということです。それと明らかに劣化します。酸化物様のゴミのような物が出ます。減少分の幾らかは蒸発したと考えられます。渦ができたとき中央の電極と水銀が断続する際に多く蒸発するのかも知れません。また、容器や銅板と反応するのかも知れません。それとハンダは水銀と反応しますのでハンダ面は絶縁塗料を塗っています。アルミもいけません。
まだまとめていませんけれど、面白い結果が出つつあります。深く理解した人から見れば他愛もないことかも知れませんけれど、不思議で複雑な現象が見られます。
ところでYouTubeにおいてGoogle+と共有連携?しないとコメントできないとのことです。どうも設定できない状態ですので、今のところ当方から動画でのコメントができませんのでご了解ください。
水銀を使った他の動画ではゴム手袋、換気を十分にしていました、十分注意され実験をされて下さい。・・今回の動画にも頭をひねりました、マイナスの銅輪がなぜ回転するのかと思いましたが、電線に吊り下げられているので、下向きの磁場が電線に作用したのだと解釈しています、なかなか電磁力学で説明できない現象を探すのは容易ではないと思いますが頑張ってください。
ありがとうございます。今の時期寒いので換気をしていません。通電時間を短く済ませています。村里様が言われるとおりでして、現象を単独で取り出すのは非常に難しいことと理解しています。ましてや新規性があると証明することは至難の業です。ただテーマによると思っています。Nマシンを除いて百数十年ほぼ放置された単極誘導は、いろいろ面白いことが出てきます。ネットで単極誘導(faraday disk,homopolar motor)を調べると90%以上同一のパターンしか出てきません。homopolar motor 単極モーターその3は変わったものの代表ですけれど、この実験も「やさしくて難しい電磁気の実験:1989年パリティ第4巻12号P80~霜田光一」に紹介されたものと同一です。(管理人もモーターとこれによる起電力を確認しました。動画は撮っていません。)今回管理人の動画は複数の実験結果に頭が混乱しながらも、後から整理した上でわかりやすいものを順に並べました。ですから、撮影の時期は実験の番号とは異なります。きっかけとなった実験2は昨年4月のものです。村里様がいろいろ試されていることは貴重なことだと思います。近く、区切りがついた所までを動画サイトにあげられると思います。