単極誘導モーター(電極が受ける反作用と電極半径について)20150216

単極誘導モーターの実験(電極が受ける反作用と電極半径について)2015/02/16 を動画サイトに掲載しました。

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動画 1

水銀を用いた単極誘導モーターにおいて、外側の電極を上から吊して、単極誘導モーターに生じる力の反作用を外側の電極が受けるかを調べました。 また、外側の電極が磁石から離れた場合はどうなるのかを調べ、まとめたものです。

動画1の実験1について。

上から吊した(外)電極を(+)とし、(軸)電極を(-)とします。水銀を満たしてリング型ネオジム磁石を浮かべます。設定はDC0.6V最大20Aにしました。 通電すると

  1. (外)電極が反時計方向に振られる。
  2. (外)電極が回りきった後、水銀が時計方向に渦を作り始める。
  3. 水銀に浮かべたネオジム磁石が時計方向に回る。

水銀に浮かべたネオジム磁石は、このモーターに生じる力とは無関係ですので、水銀の作る渦の方向へ回ります。

動画1の実験2について。

次に、(外)電極をネオジム磁石から離した場合として、(外)電極の半径を大きくします。電源の設定は実験1と同じです。通電すると

波は立ちますが、水銀は渦をほとんど作っていないように見受けられます。また、水銀に浮かべたネオジム磁石もほとんど回りませんでした。

実験2は、手持ちの水銀の量が少なくて不十分です。(入手困難により。) (外)電極の半径が大きく、容器のシャーレに触れているらしいこと。 水銀の深さが不足しているためにネオジム磁石の浮きが浅いようです。(浮いた磁石からシャーレの底までが浅い。) ですから、十分な渦が出来ていないことが見て取れます。 しかし、実験1で(外)電極が渦の反作用を受けていることは明白ですから、実験2においても反作用は(外)電極が受けているはずです。 結論として、(外)電極が磁石から離れることで、単極誘導モーターに生じる力が弱くなるということです。検証としては少し弱いですけれど、直感的に納得できます。

 


さて、改めて電磁気学上における単極誘導の定義について考えてみます。

距離に逆比例する単極誘導図1

図1の(1)は、一般的に示される単極誘導の説明図です。  軸対称な磁石と同軸の導体円板に軸と外縁にブラシを設けた上で、検流計を通して閉回路を作ります。導体円板を回転させると、誘導電流が流れるというものです。 このとき軸と導体円板の外縁部に生じる電圧は

図起電力の式式1

によって、求められるとされます。式1の右辺第2項がそれです。第2項だけを取り出して (単極誘導とNマシンの不思議、その3)を引用させていただき導体円板の内径を r1、外径を r2とすると

式2式2

となります。ここでωは角速度、Bは磁束密度ですので、半径を大きく、回転速度を速くすれば起電流の電圧は大きくなります。

次に図1の(2)について。  磁石は図1の(1)と同じものを用いて、かつ閉回路は図1(1)と同じ経路とします。また角速度ωも同じとします。  導体円板の半径を大きくするとともに導体円板に接するブラシを大きくした半径の位置に持ってきます。式2により角速度ωが同じならば、(2)の起電流の電圧は(2)が少し大きくなると考えられます。(同じ磁石ですから外径r2を大きくしても閉回路のBは変わりません。) ただ実際に確かめるのは大変です。機械的な抵抗を含めた条件が違いすぎます。


 

一般に、発電機の機構に電流を流せばモーターになりますので、この考え方は単極誘導モーターに当てはまると考えられます。

動画1の実験1と実験2の違いは、閉回路の経路の形状と長さ(半径)ですけれど、磁石から出る磁力線のほとんどが磁極端面にあります。つまり、単極誘導モーターが上式の考え方と同等とするならば、(外)電極の形状と長さ(半径)が異なっていても、実験2による生じる力(回転力)は実験1と同等になるはずです。なぜなら磁力線のほとんどが磁極端面にあって、実験1も実験2のいずれも、(外)電極がこれをカバーしているからです。 ところが結果は、実験2はほとんど回りませんでしたし、実験1との整合性からいって回らなくても仕方ないように見えます。

実験2において、(外)電極の半径が大きく、回転モーメントは大きいので反作用を受けていても、反作用によって振られることが観察できなかったと思われます。(シャーレの壁面に少し接触していたようです。) でも、水銀は液体ですから反作用がこのような距離伝わるとは常識的に考えにくいのは事実です。

実験の結果を認めるならば、少なくとも単極誘導モーターにおいては式に従わないと考えられます。  直接、図1の(2)を実際に確かめるのが一番だと思うのですけれど。

なお、銅円板による単極誘導モーターの半径を大きくすると、回転力が小さくなることは確かめています。(同じ磁石を用いて半径を大きくした場合です。回路の形状と長さは異なっています。)

このようなこと先人が気づかないはずないのですけれど、意図的に放置したとしか考えられません。

 

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Φ について

2010年より研究しています。
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