「導線には、円板に回転軸まわりの力のモーメントと、大きさが同じで向きが反対の力のモーメントが働く」という論文

ネット上に「単極モーターの動作原理」というpdfがありましたのでメモします。 物理教育 第55巻第2号(2007年)のp141~p144に掲載された中川雅仁氏(北海道教育大学 教育学部釧路校)という方による論文です。 導入部分を引用します。

単極モ ーターの反作用は磁 石に働 くとい う誤解を解き,その上に立っ た解釈 を与えた。すなわち,磁石(と流れる電流)の磁場によ り単極モーターの金属板部分に回転軸まわりの力のモーメ ントが働き,それによって回転するが,磁石には,金属板や導線に流れる電流からの力のモーメ ントは働かない 。導線部分には金属板部分に働く回転軸まわりの力のモーメ ントと,大きさは同じで向きが反対の回転軸まわりの力のモーメ ントが働く。

内容はpdfをお読みいただくとして、導体円板とブラシに働く軸まわりの力のモーメントを計算した結果、単極誘導モーターに生じる力の反作用はブラシに働くと結論づけています。 この結果は管理人が行った一連の単極誘導モーター実験で得た結果と同じです。計算の内容はよくわからないのですけれど、磁石の磁場を用いて計算することで、当方の実験と同じ結論が導かれています。

管理人が参考にしたこれまでのどの資料より詳しく解説さていてます。 パリティブックス丸善(株)の「続 間違いだらけの物理概念 (パリティブックス)」では何が言いたいのかわかりませんでしたけれど、上記論文の論旨は明快です。 「力は接点で生じ、反作用はブラシが受けていることが磁場の計算で求められる」ということです。 残りは

  1. 単極誘導モーターに生じる力は、磁石の磁束密度に比例するとともに質量に比例する。
  2. 水銀を用いた単極誘導モーターが二重反転あるいは三重反転する。
  3. 二重反転型と三重反転型のみ水銀が磁石に乗り上げる。

ことの理由が磁場を用いて計算(あるいは説明が)できればOKということになります。 他にもありますが、1.は実験の結果得た

グラフ3 実験6の振動幅の表1

で読み取れます。磁石の磁束密度より質量の方が生じる力の割合が大きいことがわかります。

2.は

homopolar motor

homopolar motor

写真1

の様に、水銀を二重に仕切ることで、内側と外側で反転して渦を生じます。 さらに水銀を三重に仕切ることによって三重反転にもなります。

3.については、二重反転と三重反転の場合は、写真1の様に水銀が磁石に乗り上げますが、仕切りのないモーターでは

homopolar motor

homopolar motor

写真2

の様に、乗り上げることはありません。 実験の様子は動画サイトへのリンクをご覧ください。

それと、電磁誘導は交番電流が誘導されるのに単極誘導はなぜ直流が誘導されるのかの説明が単極誘導モーターにおいても必要だと思います。 電脳工作室をときおり参考にさせていただいておりまして、ロウソク発電器の記事の中程において管理人様は、単極誘導について

この現象はファラデーが発見し、ファラデーの円板とか単極誘導とか呼ばれていますが、磁石を回しただけでなぜ直流電圧が発生するのか、そのメカニズムは説明ができていないように思われます。
ファラデー自身は電磁誘導現象によって説明しようと試み、こんにちの多くの教科書も電磁誘導で片付けていますが、筆者は納得できません。なぜ直流電圧が発生する(負荷をかけると直流電流が流れる)のでしょうか? 電磁誘導で安定した直流を誘起させることができるのでしょうか? どなたか、解明していただけませんか。

と述べられています。 一般に発電器に電流を流すことによってモーターになります。 電磁誘導と同様の考え方を単極誘導モーターに適用しようとすると、「単極誘導モーターは交番電流を流すと回転モーメントを生じる現象」であってよいと思うのですが。 やはり磁場で計算(あるいは説明)できたとしても、管理人は納得できないでいます。

単極誘導は、物理学の「落とし物 忘れ物」   磁石って何なんでしょう?

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Φ について

2010年より研究しています。
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