(1) EMドライブは、
写真1 出典Gigazineより
のような円筒容器に
写真2 出典NPO法人 アドバンストサイエンステクノロジー研究機構より
のように、マイクロ波を反射・共振させる装置です。円筒容器の断面積の大きい面に向けて推進力が生じるもののようです。次の
.
動画1
のように、回転台の上に円筒容器を水平に(回転軸からずらして)設置して駆動すると、台ごと装置が回転します。 次の
.
動画2
では、バネにより吊り下げた装置を天秤にて支え、天秤棒の下に電子秤を置いた状態の装置を用いて、装置の重さの変化を測定しています。(軽くなる)
このような装置の常識的な評価としては、「周囲に(漏れによる)マイクロ波を放射」するとともに投入されたエネルギーは「装置の温度を上昇させる」だけで、「推進力を生じない」はず、となります。出典先の記事
燃料なしで宇宙船を半永久的に航行させる常識破りの推進装置「EMドライブ」と、謎だった原理を解明する新しい理論とは?を読みますと
科学者の間からは「箱の中に立って一方の壁を押しているようなものだ」という批判的な声
もあるようです。しかし、NASAが真空装置の中で実験を実施したところ、推進力が生じたということです。 記事による理論説明では、ウンルー効果による仮説が紹介されています。該当部を引用しますと
イギリス・プリマス大学のマイク・マカロック(Mike McCulloch)氏の研究から、ついにその秘密を明らかにする答えに近いものが見つかっています。マカロック氏の説は、物体が極めて小さな加速度で移動する際の仕組みに関する驚くべき予測をもたらす可能性のある、「慣性」にまつわる新しい理論に基づいているとのこと。
この世に存在する物体には、動いているものは動き続ける、そして止まっているものは止まり続けようとする慣性の法則が働いています。しかし、なぜこの慣性が働くのかについては、満足できる説明がなされていませんでした。
マカロック氏は、この慣性がウンルー効果によってもたらされるものであるという説を唱えています。ウンルー効果とは、加速する物体は黒体放射を観測するという予測であり、別の言葉で言い換えると「あなたが移動すると、宇宙が加熱される」ということを意味します。
マカロック氏は、ウンルー効果による放射が物体に圧力を加えることで慣性が発生するという説を唱えています。この現象は地球上で観測することが非常に難しいとされているのですが、重力による影響をほとんど受けない宇宙空間で、ウンルー輻射の波長が長くなるほど興味深い現象が現れるとのこと。
ウンルー効果の日本語wikiにある解説を読みましたが、難解で管理人には理解できませんでした。黒体放射と関係するようです。黒体輻射と習いました。
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(2) 確か「電子はほぼ完全な球体である」ということを過去に取り上げたように記憶しています。リンク切れもありますが、電子は「ほぼ完全な球体」:Nature論文 や 10年以上におよぶ研究の末、電子の正確な形が明らかに(スラドより) あるいは 10-Year Study Reveals Electron Shape に記事があります。
内容は、「10年以上にわたって続けられた研究の結果、電子の真球に対する誤差は0.000000000000000000000000001cm以下」だそうです。仮に「電子を太陽系の大きさに拡大しても、誤差は髪の毛の太さ以内に収まる計算になる。」ようです。 スラドの記事には
研究者たちはさらに正確な測定を進めており、この成果は反物質の研究にとって重要なのだという。物質と反物質とのわずかな動きの違いを観察することにより、ビッグバンの際に物質と同じぐらい生成されたと考えられる反物質が消失してしまった原因を解明する手掛かりになるかもしれないとのことだ。
とあります。「電子は粒子であり、波である」という実験的事実があります。 しかし、弧理論の考え方では、E軸上の実体が持つ真のエネルギーは「位置を持つ質量と運動P」に振り分けられます。 観測者に対して運動Pが光速度であれば、質量は不定となります。そのとき波として観測されるようです。引用文のような難解なことではなくて、静止(基底)状態ならば、球であると認める方が理解が容易であると感じます。
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(3) カシミール効果は、管理人が弧理論で出てくる「距離の7乗に逆比例する力」について、何か情報がないかネット検索している過程で知りました。 カシミール効果については、未征服の最高峰「リーマン予想」 裾野を歩く (3) ◇素数の核心へ◇ にあるとおり、リーマン予想と関係しています。 カシミール効果はリーマン予想の
図1 出典◇素数の核心へ◇より
ゼータ関数と密接な関係にあるようです。図1と弧理論の考え方にある
図2
と(たぶん)同じものだろうという直観があります。 恐らく、物質と運動P(時間を含むエネルギー)と真のエネルギーとの間は12進数による素数列、同じく12進数による角度θにより結ばれるだろうと予想しています。このことについては、当ブログや弧理論のサイトに書いています。
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さて、上記の3点について感じることを記す前に、関連することを2点、次に説明します。
① ある科学者は、我々地球の科学と科学者について、次のように述べています。
我々は君の国の多くの一流科学者の精神を調べてみたんだ。大抵の場合、我々は科学者たちの精神が既成概念という鋳型で固められていることを知った。彼らは遠くまで進みすぎている。その結果、遠い道のりを後戻りしなければならない。 -略- 科学知識を求める人間は木に登るアリのようなものだ。自分では上方へ動いていることがわかっていても、その視野は狭すぎて幹全体を見通せない。そのために幹を離れていることに気付かないで下方の枝の法へ移動するかもしれない。いっときは万事うまくゆく。自分ではまだ上方へ登れるし、進歩という果実を少し摘み取ることもできる。だがその枝が急に無数の小枝に分かれていろいろな方向に葉が散らばっているために本人はまごつき始める。同様に知識の探求者は常に確固たるものであった。基本的法則がいまや分かれ始めて、反対方向に散らばり始めていることに気付く。すると科学者は心によって受け入れられる知識の限界に近づいていることや、あらゆる物理法則が究極的には全く統計的なものになるという結論に達する。これは地下鉄の列車に乗って行くようなものだ。たぶん最後には目的地へ着くだろうが、どこへ行くのかがわからないために、同じ場所へ着くのにもっと短くて容易な方法があることを確かめることができない。 (強調は管理人による)
地球の科学者は、基本的法則が反対方向に散らばることにより、心に受け入れられる知識の限界に達します。そして物理法則が統計的なものになると結論しました。 この状態をある科学者は、地下鉄の電車に例えています。窓の外を見ても電車が何処へ行くのかわからず、最終的には目的地に着くだろうけれど、もっと別の容易な方法があることに気付きません。
そして、ある科学者は木に登るアリ(地球の科学者)について、「正しくながめれば基本的な真理は常にかんたんで理解が容易なのだ。だから幹の上からながめれば”枝”としてかんたんな理解の容易なものになる。」として、地球の科学が進歩し続けようとする場合に必要なのは「アリ(地球の科学者)がとまっている枝から幹との分岐点まで降りて、ふたたび登り始める」ことだと述べています。
② 数学者岡潔は、講演録(2)の「2つの心」【3】西洋の唯物主義において次のように述べています。
西洋人は五感でわからないものは無いとしか思えない。これが唯物主義です。この仮定のもとに調べてきた。それが自然科学です。そうすると、とうとう素粒子というものにいき当った。不安定な素粒子というものがあって、生まれてきてまたすぐ消えていってしまっている。無から有が生じるということは考えられない。そうすると、五感でわからないものは無いという仮定は撤回しなければならない。それで西洋の学問は、一番始めからもう一度調べ直さなければならないところへきているんです。
(青字強調は管理人による)
岡潔は、別の講演で『五感で分からないものは「ない」と思っている。「ない」と断言しているのではなくて、「ない」としか思えない。自分が仮定しているということにさえ気付いていない』と述べています。 そのような仮定で研究してきた結果、仮定を撤回しなければならなくなっています。そして、最初から調べ直さなければならなくなっていると述べています。
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ようやく本題です。これまで
ある科学者が①で述べたように岡潔は②で同じ事を述べています。その理由は①で基本的法則が反対方向に散らばって、心で受け入れられないものになっているとしています。②では、五感で分からないものは「ない」という仮定ではダメで、やり直しが必要だと述べています。
管理人が度々示した
表1
を眺めることによって、「基本法則が反対方向に散らばる」ことも「五感で分かる範囲を越えている」ことも示しています。
ここで、(1)EMドライブ、(2)電子は真球、(3)カシミール効果を思い出してください。
- 五感で分かる(古典的な)認識 と
- 心で受け入れない難解な理論 と
- 実験による結果
の3つの間に乖離があることがわかります。一言で言えば「破綻」しています。 その現象は、表1の左端の領域にあることが理解できます。
自然科学を古代インドの
写真3
宇宙観に例えました。苦し紛れに己の尻尾を飲み込もうとする蛇のようです。(超難解な理論) 以前、「そのような理論に基づく、素粒子は観測結果のとおり存在する。しかし、そのような素粒子は理論と関係ないだろう」というように書きました。 小さな領域では見える(辛うじて五感で分かる)からといって、理論通りの仕組みかどうか分からないと思うのです。その例えが万華鏡でした。
ある科学者が指摘したように、自然科学全般に進歩は停滞しつつあると感じます。
20161112追記
フリーエネルギーに興味をお持ちの方に良く読まれる記事の様です。本記事において、何が云いたいのか不明な記事となっています。改めて書きます。
古典的な力学や量子論に基づきEMドライブの図や動画を見ると「あり得ない」という思いが先行して思考停止になります。 管理人は、現在の自然科学は宇宙森羅万象をすべて表現できているとは思っていません。同じ現象を自然科学の視点で見て理解不能であっても、まったく異なるが自然科学をも包摂する理論が存在すると考えています。この包摂する理論でEMドライブを合理的に説明できるかも知れない、というのが本論の趣旨です。勿論、EMドライブが作為の可能性もあることを念頭におかねばなりません。
ついでながら、2016年8月から10月にかけての記事「二重反転型単極誘導モーターにみる「運動の相対性」についてと金属板(リング)による同軸反転型単極誘導モーターの反作用について(考察:思考実験)」によって、古典力学では想定されない回転運動が実現できそうです。
この同軸二重反転あるいは三重反転型の単極誘導モーターにおいて、「作用と反作用」が相殺した回転運動、つまりEMドライブの様に、一見 作用と反作用が成り立っていない回転運動が実現しそうであることが分かりました。管理人にとっても想定外のことです。改めて古典力学から考え直す必要があると感じています。 作用と反作用が成り立っていない現象は、他にはジェット気流しか思い当たりません。このようなことが何を意味しているのか現時点では理解できていません。
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