先週の土曜日に、某科学博物館のプラネタリウムにて、「見えない宇宙を探る ダークユニバース」というプログラムを観ました。
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動画1 ダークユニバース/DARK UNIVERSE
は、そのダイジェスト版です。 製作はAmerican Museum of Natural Historyです。日本語版は(株)五藤工学研究所によるものでした。
当日のプログラムでは、冬の星座について約15分ほどの上映があり、Dark Universe日本語版が約30分でした。 日本語版での解説は某宇宙物理学者の方(失念)でした。
プログラムでは、エドウィン・ハッブルの発見による遠方の銀河ほど赤方偏移が大きいことと、
写真1
COBE探査機による
写真1 WMAPCOBE TO WMAP SKYより
宇宙マイクロ波背景放射について解説していました。 上映時の解説を記録していませんので、背景放射のwikiを引用すると
標準的な宇宙論によると、CMBは宇宙の温度が下がって電子と陽子が結合して水素原子を生成し、宇宙が放射に対して透明になった時代のスナップショットであると考えられる。これはビッグバンの約40万年後で、この時期を「宇宙の晴れ上がり」あるいは「再結合期」などと呼ぶ。この頃の宇宙の温度は約3,000Kであった。この時以来、輻射の温度は宇宙膨張によって約1/1,100にまで下がったことになる。宇宙が膨張するに従って CMBの光子は赤方偏移を受け、宇宙のスケール長に比例して波長が延び、結果的に輻射は冷える。この背景放射がビッグバンの証拠とされる理由について、詳しくはビッグバンを参照のこと。
とあります。 で、上映プログラムでは、2つの理由により、遠くの銀河ほどより速く遠ざかっているのだから、宇宙の膨張を遡ると「宇宙は一点から始まった。これがビッグバンだ」と説明されました。 同時に(地球から見て)観測可能な範囲は等しく遠ざかっており、観測できる範囲(宇宙の地平面)の外側にも同様の宇宙が広がっているだろうとのことでした。
記憶では、その説明の際の様子は、ダイジェスト版、動画1にあり
写真2
の様でした。
これはとても奇妙なことです。いくら赤方偏移と宇宙背景放射があるからといって写真2の説明はあり得ません。ビッグバンが成り立つためには、2つの観測値のいずれもが「宇宙のどこか一方向」に分布が偏って観測されるはずです。
むしろ写真2の説明の方が納得の度合いは高いと考えます。 写真2の右にある赤い点を地球の観測者だとします。黒い丸の内側が地球から観測可能な宇宙です。同時に外側、例えば写真2の左端の赤い点で示された位置に居る観測者にとっても赤方偏移と宇宙背景放射は等しく観測されるはずですし、ダークユニバースの日本語解説も同じ説明をしていました。 管理人も「宇宙に特別な場所、あるいは特別な中心は無い」と直観します。全部平等です。
3次元物理空間では分かり難いので、2次元平面に置き換えて考えます。 今、ある観測者は2次元平面上に居るとします。
図1 地球は丸いのかより
の右端に観測者が居ます。水平線に浮かぶヨットを見ています。更に遠くのヨットは「ヨットの帆先部分だけ」見えることになります。何故なら地球は丸いからです。 この現象は、地球のどの地点においても成り立ちます。 ネットで探してみますとありました。
写真3 水平線上のファンタジーより
右手の船が水平線上にあります。左により遠く、水平線より向こうに船の上部が見えます。引用先の説明では水平線上の船が6~7kmほどで、遠くの船は10km以上沖にいるだろうとのことです。 他にもありました。
写真4
もかなり分かり易いです。
目次
で、2次元平面上に居る観測者が、「地平面がどこでも等しく湾曲しているからといって、地平面のどこかに中心がある」と考える訳ありません。
何故なら地平面は球だからです。湾曲した地平面の中心は、3次元空間にある地球の中心にあります。
これを3次元物理空間に戻して考えます。
3次元物理空間上に居る観測者が、「宇宙空間がどこでも等しく膨張しているからといって、宇宙空間のどこかに中心がある」と考えるはずはありません。
もし、中心があると考えるならば、「宇宙の中心は、別の次元軸(4つめの次元軸)上に中心があるはず」となります。
ですから「ビッグバンはあり得ない」となります。繰り返します。ビッグバンが成り立つには、2つの観測値に偏りがなければなりません。2つの観測値が宇宙の同じ一点を指し示さねばなりません。 まとめると、次のようになります。
2次元平面上の観測者 → 3次元空間の中心(球) → 曲率 (静的)
3次元物理空間上の観測者 → 4次元空間の中心(?) → 遠くほど加速的に膨張(動的)
数学者岡潔の言葉によれば、「時間は過去の観念に過ぎない」のですから、時間は存在しません。あるのは運動だけです。 すると弧理論の考え方の基本形として
図2
余分な次元軸(E軸)を考える根拠になり得ると考えます。 以下は余談です。
そういえば、
図3
ある観測者(ア)から見れば、はるか遠くの物体(ウ)、例えば遠くの銀河は運動Pを持っている様に観測できるはずです。 同様に、観測者(ウ)の位置にあれば、(ア)や(イ)は、運動Pを持っている様に観測されるはずです。
何故、図3の様に考えるかと云えば
図4
の原子模型について、仮に原子に観測者の視点を置くことができるとすれば、遠くの原子は運動Pを持っていると解釈出来るからでした。 極小でも極大の世界でも「空間は隙間だらけ」です。
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wikipediaの「系(自然科学)」で気になる記述がありました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B3%BB_(%E8%87%AA%E7%84%B6%E7%A7%91%E5%AD%A6)
閉鎖系(閉じた系、closed system)
外界と質量の交換はしないが、エネルギーの交換が可能な系。この場合、熱を交換する外界は熱浴(英語版)とも呼ばれる。
孤立系 (isolated system)
外界から完全に独立しており、外界と質量もエネルギーも交換できない系。
自然科学は上記の閉鎖系、孤立系のどちらでしょうか。
Φさんは閉鎖系と孤立系を混同してませんか?
ご指摘ありがとうございます。井口氏がブログで熱力学の観点から孤立系と表現していました。(ttp://quasimoto.exblog.jp/17565977/)
岡潔は「自然科学者は時間空間と云った」と述べています。空間があってそこに物質があり運動するとともに時間が経過すると考えた。時間について空間について何も考えていません。
孤立であっても閉鎖であっても同じです。対する弧理論の考え方は開放系です。孤立系でも閉鎖系でもまずは空間があると考えているはずです。空間とは何か考えていないものですから、どこまでも孤立あるいは閉鎖を拡張し続けるしかありません。