これまでに、自然科学には発見・創造の仕組みがないと、何度も説明をしてきましたけれども、異なった言い方で表現します。参考の記事です。
- 2023年5月28日 動画 『15創造と発見の仕組み(1)「人の肉体が持つ限界」』を掲載
- 2023年6月6日 動画 『16 創造 と発見の仕組み(2)「情的にわかるの実際」』を掲載
- 2023年6月23日 動画 『17創造と発見の仕組み(3) 創造と発見 は「弛緩と関心」の外からやって来る』を掲載しました
- 2023年10月20日 発見 の方法
または「ホーム」の右隣「動画での解説」をご覧ください。
岡潔の「情・知・意」
数学者の岡潔は、「情・ 知 ・意」の順に働くとしました。
- まず、情的にわかり
- 次に、知的にわかり
- 最後に、意識を通してわかる
知識、意識の領域の前に段階があるわけです。知識は、記憶や情報でもあります。
情と発見(他力)
おわかりかと思いますが、知識、意識は過去です。現在を含みません。
図1 情的にわかるのみが現在 他は過去
現代の教育は、「 知 」に偏っているとよく言われることですが、その理由として岡潔は、子どもの情緒は豊かであるべきと説いています。これは至極最もです。しかし、もっと明確な理由があります。
知には、発見の仕組みがないからです。発見とは仏教で言うところの他力です。言い換えると、心の現在である(情的にわかる)の働きを有効に発揮するのが発見です。
時制で言えば、情的にわかるは唯一現在で、それ以外は過去です。
- 岡潔【10】数学上の発見
- 岡潔【27】西洋人の創造
岡潔の講演録と解説にあるように、「創造は無心」、「努力感を感じない精神統一」とあります。一言で言えば、「弛緩と関心」より発見や創造は来ます。言い換えますと、発見や創造は、自己の知識、意識、意思の他です。如何ともしがたい部分があります。
知識・意識は循環・ネットワーク
知識(記憶)は、言葉(言語)です。これには数学を含みます。言葉は、互いに規定し合って成り立つ繰り返し循環であり、ネットワークです。例えばですが。
写真1
手元にある国語辞書を使って、上を説明した図です。
明らかに、繰り返しでネットワークです。これは閉じています。写真1をより詳しく、詳しく説明してもきりがなくて、しかも、繰り返しになることがわかります。
知識が如何に膨大であっても、状況は決して変わらないことがわかります。これを外のない内と言います。既知の事柄を組み合わせて新しい何かを見つけることはできます。これを工夫とか改善と言います。
しかし、ここに未だ知られていない何か、仮にこれをXとします。Xは、誰にも知られていないのですから、工夫や改善によって到達することは極めて稀であるか、不可能です。
これが、Xを知により到達できない理由です。知には発見の仕組みはありません。知識や意識は過去ですから。
心の現在を生かす
発見や創造には、唯一の現在である「情的にわかる」を生かすしか方法はありません。岡潔は、その源泉を「子どもの情緒」にあると説いているのです。
「わかる」を時の順に整理した図です。
岡潔の「情」以外の呼び名がありますので、参考にご覧ください。
- 岡潔の「情」
- 善導大師の「覚」
- ヲシテ文献の「タマ」の部分
- ナサケヱダ
- 「キ(気)」
- 「ト」のヲシテ
- G・アダムスキーの「ソウルマインド:feel」
「わける」は抽象へ至る
改めて書きます。少し難しいですが、知識の過多は、心を病む原因となります。
- 岡潔「自然数の1は決してわからない」
- 2進数1桁の数において、
- 1は0でない数
- 0は1でない数
既知が「0と1」であるならば、0~1を0.2でわけるのも0.1でわけるのも、はたまた0.024でわけるのも精度の問題です。もう一つの問題は際限がないことです。「わける」ことにより行き着く先は抽象です。事の細かさに際限はありません。数学を含む言葉は、繰り返しだからです。既に物理学の先端は抽象です。
参考に物と事の範囲を示します。
図4 図の両端において、物の量(長さと質量)は次元を失っている
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