単極誘導モーターは古典電磁気学の例外

先日、単極誘導モーターについて調べていて気づいたことがあったのでメモしておきます。

ファラデーが最初に作った単極誘導モーターは

単極誘導モーターの図

図1 ファラデーが作った単極誘導モーター

図1 のようなものです。 Fig1 に示されるように2つの水銀溜めに2つのモーターが作られています。左側のモーターは上部中央の固定された電極の周りを下から支えた棒磁石が周回します。 右側のモーターは水銀溜めの容器に固定された磁石の周囲を上部から吊り下げられた電極が周回するというものです。

一方、現代でも単極誘導モーターは多くの人が製作しており、動画サイトには上図と同じタイプのモーターが幾つかあげられています。

動画1 や

 

動画2

などです。 2つの動画はいずれも、図1のFig1の右側のモーターに相当します。

ただ、動画のモーターとファラデーが最初に作った単極誘導モーター図1では明確な違いがあります。

ファラデーが最初に作った単極誘導モーター図1では、左右2つのモーターの両方とも、電流の流れる経路が磁石を通っているのに対して、動画サイトのモーターは電流の経路が磁石を通っていません。

ファラデーの単極誘導における起電力は電磁気学において

単極誘導の起電力を求める式

単極誘導の起電力を求める式

式1とされています。 発電機とモーターが「対」になると考えると、式1の右辺第2項は、単極誘導モーターの機械出力は「(印加する電力が一定ならば)回路が貫く磁束密度に比例する」といえますので、ファラデーが最初に作った単極誘導モーターでは式1に従うと考えてよいと思います。

図2 単極誘導概念図参考図

ところが動画サイトのモーターは、電流の経路が磁石を通っていませんので、上からぶら下げた端子(接点)が回転することによって、回路を貫く磁束密度が変化します。

具体的に検討します。 動画1について、固定された端子は右側に置かれ水銀に接しています。そして、

vlcsnap3s241写真1 (吊り下げられた回転端子が左側)のときと

vlcsnap5s205写真2 (吊り下げられた回転端子が右側)のとき

を比較すると 生じる回転トルク(機械出力)は  写真1>写真2 となるはずです。 つまり、写真2のときには上から吊された回転する端子の振れ幅は写真1より小さくなるはずです。 何故なら、写真2のときに、磁石は回路の外側にあり、回路を貫く磁束密度が小さくなるからです。

動画1(1分30秒以降)と動画2(4分10秒以降)をよく観察しても、写真1と写真2の時の「振れ幅」に明確な違いが見いだせませんでした。 つまりは、単極誘導モーターは、式1の右辺第2項に従わない、磁束密度に相関がないと考えられます。 もう少し目的を明確にした実験を行うべきかと思いますが、管理人が一連の実験から得た結論と同じと考えてよさそうです。

どうも、ファラデーの単極誘導モーターは古典電磁気学の例外だろうと思います。

アイディアは出るのですけれど、目的・方法・手順・装置の機構や材料など吟味しなければ、簡単にとりかかる訳にまいりません。 そして、多くの実験が予想の通りには出ないのでなかなか進みません。

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Φ について

2010年より研究しています。
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